Northern Rise 時事ネタオピニオン Vol.21

瀬川猛SC(スポーツコーディネーター)のスポーツ時事ネタ第21弾!

瀬川SC(スポーツコーディネーター)によるスポーツの時事ネタ紹介の第21弾をお届けします!

※10月3日から10月16日までの気になる時事ネタを日付順に掲載

目次

1.「競技人口の減少が進む軟式野球」~学童世代の普及に力~(岩手県版)

2.「ホッケーのまち熱く」~コロナ禍、県協会が企画~(岩手県岩手町)

3.「18歳菅原(紫波一中出・福井美方高)パリ五輪狙う~強豪で鍛え成長曲線~(岩手県紫波町)

4.「女子ソフトさあ初陣」~一関初のクラブチーム~(岩手県一関市)

5.「体験観光ここから」~旧甫嶺小の室内パークを整備~(岩手県大船渡市)

6.「千田(花巻中)男子100Vなるか」~全国中学陸上開幕~(岩手県花巻市)

7.「連帯責任に疑問の声 近大サッカー部」~活動再開求め署名も~(全国版)

【1】 「競技人口の減少が進む軟式野球」~学童世代の普及に力~

少子化の影響は国民的人気スポーツの野球も免れず、競技人口の確保に影を落としている。その中で本県の軟式野球振興や審判員育成を担う県野球協会も、危機感を持ちながらも活動を継続している。協会に入り半世紀。現在のメンバーで最も長く携わる会長の柴田さんに、協会の現状と課題。後進育成や野球への思いを聞いた。

(現状)協会の登録チーム数は、20年前は千を超えていたが、昨年度は617。特に小学生が減っており、人口問題とイコール。特に過疎地域ではスポ少活動が大事で、子どもが野球を楽しめる雰囲気づくり、熱心な指導者の育成、周囲の支えが欠かせない。

(審判育成)2人目の国際審判員が生まれるなど、今が充実しているとき。リーダーが中心となり、後輩の育成指導する体制ができている。審判がしっかり判定を下した上で、勝敗を決することは極めて大事。そのレベルが上がったことが、岩手代表が全国での好成績につながっていると考える。

岩手日報 2020/10/4

チーム数が千を超えていた20年前の岩手代表と言えば、甲子園で1回戦を突破するのが、やっととの印象であったが、今は上位進出、東北勢悲願の優勝を期待できるチームが誕生しています。そして、現役の大リーガー輩出など、チーム数が減っても質が上がっている印象を覚えます。その一旦として記事にある審判のレベル向上など県協会が果てしてきた役割も大きかったのではないでしょうか。

【2】「ホッケーのまち熱く」~コロナ禍、県協会が企画~

県ホッケー協会は4日、岩手町子抱の町ホッケー場でホッケーの県高校選抜チームと社会人チームとのテストマッチを行った。新型コロナウイルスの感染防止のため、合宿や県外遠征の中止を余儀なくされている選手に練習の成果を発揮してもらおうと、同協会が初めて企画。選手たちは仲間と試合できる喜びを胸に、熱戦を繰り広げた。

岩手日報 2020/10/05

卓球やバトミントンなどの個人種目では県総合選手権で社会人と対戦する機会はあるが、野球などの団体競技で社会人チームのトップチームとのテストマッチは数えるほどしかないのではないか。これを機に合宿や県外遠征以外の選択肢として、社会人チームとのテストマッチが新たな強化策に位置付けられる可能性もあるのではないか。

【3】18歳菅原(紫波一中出・福井美方高)パリ五輪狙う~強豪で鍛え成長曲線~

ボート男子で2024年パリ五輪を狙う18歳のホープがいる。紫波一中出身で福井・美方高3年の菅原陸翔は、中止となった全国高校総体の代替大会として9月20日まで大阪府立漕艇センターで開催された全国高校選手権特別大会のシングルスカルで優勝し「やってきた練習が正解だった」と初々しく笑った。

中学時代はアルペンスキーで全国中学校大会に出場した経験を持つ。夏はテニスにも打ち込んだそうだが、頂点を極める力がないと感じていた中、ボートに出合う。五輪を目標に、世界で活躍するトップ選手となる人材は発掘・育成する県の事業「いわてスーパーキッズ」でボートを体験。こぐ力を測定したところ好記録を連発し「世界を目指せる競技だ」と転向を決意した。

岩手日報 2020/10/06

競技種目を転向するきっかけとして「いわてスーパーキッズ」が果たしている役割があるのだとすれば、菅原君のような逸材を誕生させたことは評価すべき。何を選択するかは子供に決めさせたほうがいいが、その視野や選択肢を拡げる役割は大人にしかできないことでもある。

【4】「女子ソフトさあ初陣」~一関初のクラブチーム~

一関市の成年女子ソフトボールクラブチーム「一関クラブ」は11日、初の大会に臨む。「地元出身選手の受け皿に」と、ソフトボールが盛んな同市初のクラブチームとして昨年発足。日本女子ソフトボールリーグ3部加盟を大きな目標に掲げ、待ちに待った初陣に臨む選手らは「楽しんでプレーし、勝利を目指す」と飛躍を誓う。

岩手日日 2020/10/09

社会人になってプレーできる環境の充実には、雇用の場・安定した施設の活用・スポンサー獲得による活動資金の充実など、目標を高くすればするほどハードルが高いのも事実。しかし、チーム結成の狙いは地元出身者に戻ってきてもらい、いずれは指導者となって一関のソフトボールを盛り上がるというスポーツでの地域活性化という側面もあることから、地域、企業、行政が連携して持続可能な活動になることを期待したい。

【5】「体験型観光ここから」~旧甫嶺小の室内パークを整備~

大船渡市三陸町の旧甫嶺小で10日、校舎を改修した甫嶺復興交流推進センターと、体育館を活用し、BMX(バイシクルモトクロス)やスケートボードができる室内パークがオープンした。市などが同校敷地に整備を予定した全施設が完成した。住民交流を促し、宿泊機能を備えた体験型観光の拠点になる。

同校敷地には、5月に完成した屋外BMXコースを含め、3施設の整備が進められてきた。

岩手日報  2020/10/11

雪国にとっては冬季期間の練習場所の確保が悩みの種。特にスポーツビジネスを展開する上では冬季期間の施設確保は死活問題でもある。屋外、屋内に練習環境を整備できたことはBMXクラブにとっては大きな意味をもつのではないか。年内にオープンする宿泊機能と絡めながら更なる盛り上がりを期待したい。

【6】「千田(花巻中)男子100Vなるか」~全国中学陸上開幕~

陸上の全国中学生大会は16日、日産スタジアムで開幕し、男女計23種目が行われる。県勢では男子100㍍で10秒71の県中学記録を持つ千田海人(花巻3年)はエントリーランキング2位で優勝の期待が高まる。

 コロナの影響でシーズン開幕が遅れたものの、次々に好記録をたたき出した。中でも先輩スプリンターと競った7月下旬の県選手権は、向かい風にもかかわらず予選で10秒97をマークし、自身初の10秒台に突入。決勝は10秒96で3位に食い込んだ。一日2レースでも10秒台をそろえる地力を見せつけた。

岩手日報 2020/10/15

千田君の記事を読んでオピニオンVol.17の為末大(元陸上選手)さんの記事を思いだしたので、ふり返りの意味で記事を回録。

「新型コロナウイルスが感染拡大する中、恐る恐るではあるが陸上競技の試合が再開された。長い間トレーニングが中断されていただけに、選手たちの体調面が心配されていたが、意外なことに中高生を中心に続々と新記録が出ている。一体なぜ、このようなことが起きているのか。

 第一に練習が抑制されたことだ。そもそも、これまで日本の部活動は練習が過多だった。他国と比較して、先進国の倍の時間をかけている競技すらある。練習過多が生み出す最も大きな弊害は、本来はやりたくてやっているはずのスポーツが「やりすぎて、もうやりたくない」という燃え尽き感を抱かせるところにある。競技が再開された時、選手たちのすがすがしい表情がとても印象的だった。」

千田君の好記録もひょっとしたら、為末さんが指摘しているコロナ禍がもたらした効果なのかもしれません。千田君の全国での活躍を期待しましょう。

【7】「連帯責任に疑問の声 近大サッカー部」~活動再開求め署名も~

多くのJリーガーを輩出してきた近畿大サッカーで不祥事が発覚し、無期限の活動停止と本年度のリーグ戦の出場辞退が決まった。不祥事に関わっていなかった他の部員らのプレーの場も奪われたことに「連帯責任は必要なのか」との声が上がり、松井監督は記者会見で「チームスポーツだからということに尽きる」と説明。署名サイトでは早期の処分解除を求める署名活動も始まった。

岩手日報 2020/10/16

ここではNumberWebの記事を参考に連帯責任について考えてみます。

連帯責任を課す根拠は、「教員的配慮」や「不祥事の抑制効果」にあると言われ、「仲間の不祥事についても自分の問題として、皆で責任を負うべき」とか、「処分を厳しくすれば二度と同じようなことはしない」という説明がよくなされます。

日本国憲法の精神に則り2011年に公布された「スポーツ基本法」は、その前文に「スポーツをすることの権利性」を示唆してあり、「連帯責任」を課すことそのものが、不祥事に関わっていない生徒の「スポーツをする権利」を侵害することになりかねません。

マスコミなどの批判を避けるために連帯責任を選択することもあるでしょうが、不祥事に関わっていない選手のスポーツ権を侵害しないための妥当性や判断基準について今一度考える必要があるかもしれません。

次回もお楽しみに!

スポーツの秋の到来です。様々な種目で大きな大会が開催されています。コロナ禍で変則的なシーズンになっていますが、選手の皆さんはプレーできる喜びを感じながら、大会での健闘を期待しています。

では、また!